当社は、2022年1月より持株会社体制へ移行し、商号を「株式会社CLホールディングス」に変更するとともに、国際財務報告基準(IFRS)の任意適用を開始しました。CLホールディングスを持株会社として、そこにレッグスやCDGを始めとした各事業子会社が傘下に入るグループ体制となっています。2024年12月には、CDGを完全子会社化し、機動的な人財配置を含め、経営資源の最適分配が可能なグループ体制となりました。また、事業運営をグループ最適へとシフトしていくため、注力する事業領域を「マーケティング事業領域」、「ロケーションベースドエンターテインメント(注1)事業領域」および「マーチャンダイジング事業領域」の3つに絞り、さらなる事業シナジーの創出に向けた体制づくりを進めました。これら領域運営による事業シナジーによって、「エクス・テインメント(注2)ビジネス」をさらに拡大させていく考えです。
2024年12月期のCLホールディングスの通期連結業績については、主にエンタメ顧客向けOEMおよび流通顧客向け物販が好調に推移したことで、売上収益は前年同期比で増収となりました。一方で、売上総利益に関しては、新規事業における収益性の課題などの影響により、前年同期比で減益に。また、営業利益に関しても、販売費および一般管理費において、2025年に予定している東京オフィスの統合移転費用の引き当てや、人材強化のための人件費用等の増加があったことに加え、CDGの完全子会社化に伴う費用等の増加もあり、前年同期比で減益となりました。
また、2024年12月期には、催事事業やプライズ事業などの新規事業の展開が進んだものの、収益性に課題があったため、現在、計画の見直しを進めています。一方で、長期常設型テーマカフェや新業態のベーカリーテイクアウト専門店など、テーマカフェの多角化が進むとともに、催事物販サービスやテーマカフェサービスなどの海外展開が進行しました。その他にも、自社くじサービス「エニマイくじ」を新サービスとして展開し、順調な滑り出しを見せています。各事業領域で展開するサービスについても、スポット型サービスからストック型サービスへの転換を進め、構造転換を図ることにより、安定的に収益を確保しながら事業を拡大していく考えです。
CLグループの中期戦略としては、「グループシナジーを高めて、収益力をさらに強化する。」を掲げています。当社グループはこれまで、CDGとのシナジー創出に向けた取り組みを段階的に進めてきました。昨年の完全子会社化を機に、CDGとの完全統合を図り、これまで以上にグループシナジーの創出と、収益力の強化を加速させます。その上で2025年は、中期戦略の実現に向けて、3つのポイントを重点的に進めていきます。まず1つ目に、シナジー創出を図るため、3つの事業領域を起点とした領域運営を本格稼働させます。2つ目に、事業ポートフォリオと業務の最適化を推し進めます。特に、業務の最適化においては、グループ全体でAIなどのデジタル技術を積極的に活用する考えです。3つ目に、新規事業、海外展開、M&Aや人的資本の4つの領域に対して、適正な収益性を確保しながら継続的に投資を実行していきます。特に、新規事業への投資に関しては、同じ失敗を繰り返さぬよう、スモールスタートで、仮設・検証サイクルをしっかり回し、ヒト・情報・仕組みの運営体制を整えた上で挑戦を継続していく考えです。
当社は、創業以来、人として大切なこと、正しいことを判断の基軸にした会社経営、つまり、理念を中心に据えた理念型経営を行っており、人財を競争力の源泉と捉え、人的資本への投資を継続して行ってきました。今後も、経営人財を育成・輩出していくために、理念教育やフィロソフィ学習会を始めとした各種研修制度の充実を図るとともに、権限委譲や社内情報の見える化を進め、社員が自発的に自律して動ける「エンパワーメント型組織」の形成を目指していきます。また、サステナビリティについては、ホールディングスサステナビリティ方針を策定するとともに、サステナビリティ専担の執行役員を選任し、サステナビリティ推進室を設置の上、環境・社会価値の創出およびガバナンスに関する具体的な取り組みを進めています。サステナビリティの推進そのものが競争力の源泉となると考え、グループとしてマテリアリティを再設定し、事業活動を通じた課題解決を目指していきます。引き続き、環境、社会性やガバナンスに十分に配慮しながら、地方も含めた日本全国の小売業や店舗を元気に、そして消費を増やしていくのはもちろんのこと、買い物をより楽しくして、生活者(消費者)の方々の笑顔を増やしていきたいと思います。
当社グループは、中長期を見据え、事業、組織・体制いずれの面でも以前より強い企業集団に生まれ変わるために、構造改革を進めており、現在その真っただ中にあります。グループを取り巻く環境は、激動の時代を迎えていますが、そういった先の見えない時代にこそ、理念やフィロソフィを指針・基準とした経営を推進していくとともに、私たちは自らの意志で変化に挑み続けていきます。新たなことに果敢に挑戦していくことで、株主の皆様と一体となって夢を実現する会社になれるよう日々邁進してまいります。
(注1)特定の物理的な場所で提供されるインタラクティブで没入感のあるエンターテインメント体験のこと。
(注2)「エクスペリエンス」と「エンターテインメント」を掛け合わせた造語で、エンタメ顧客体験価値のこと。